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[おしゃべりQ館長]〜アートを語ろう〜 ファイルNo.07  
  • 2011年12月15日

「オシラサマ」と「ミルク神」


 今週の前半、ボクネンが「棟方志功さん」の作品を彫りました。彫りから着色まで2日間に渡って8時間ほどで完成させました。これは某放送局企画のテレビ番組で来年2月頃、放映される予定ですのでぜひ観てください。放映権などもろもろの理由があって作品名や作品、制作風景はまだ公表できません。ご了承ください。 

 ちなみにこの番組の趣旨を言いますと、大家の作品を現在活躍する作家が再現することで作品制作の技術、表現の奥行きなどに近づき、これまで言説されなかった「なにか」を発見し大家の新たな魅力を掘り起こせればというものです。再現する作家にとっても、自らの制作衝動によって「もうひとつのなにか」を感じ取り、大家との通路を探ることも目的のひとつです。

 その制作の8時間をほとんどつぶさに私は同伴しましたので、ここで拙文を書いてみたいと思います。なにしろ感じたままを書きますので筋違いなこと的外れなことがいくらかあるかも知れませんが、そこはご容赦願います。

 さて彫りから着色までの一連の制作工程を終えた作品を観て私が感じたのは、大まかに言って二つありました。ここではほんとに直感的に言っておくことにします。

 一つ目は作品のなかの「動き」が違うように思えました。ボクネン作品は「動的な線」で志さんは「静的な線」が描かれているようでした。つまり志さんは「丁寧」に彫刻刀のストロークを止め、ボクネンは「奔放」に突き抜ける技法を採用していたのです。ここで私は志さんの作品が「静的な線」と言いましたが、誤解のないようにもっと言ってみたい思います。つまり志さんの作品の登場人物などは「ゆったりとした動き」なのです。そのうえ、その動きのなかで静かに「鑑賞者」を見つめているような気がしました。

 この違いを考えてみるに、私はふたりの作家の「地霊」といいますか、そんな風土の視線が関係しているのかなという気がしました。志さんは東北地方の「オシサラマ信仰」からくる「家・農業の神」の目線だという気がしました。

 一方、ボクネンは南島地方の「ミルク信仰」、つまり海からの来訪神の「やってくる」「動いている」という目線なのではないでしょうか。

 二つ目の違いは画面構成です。ボクネンの方に「重量感」を感じたのは登場人物など素材をとりまく周囲の空間の量がいくらか少ないからでしょう。つまりボクネンは登場人物など素材を大きめにとって「立ち現れ」を主として打ち出しています。志さんの方と言えば、空間の量を若干多めにとっています。つまり志さんは登場人物や素材以外の「空間」にかなり気を配り「保蔵」を打ち出すこことにこだわりがあるようでした。


 

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さて、ここで早急感は免れませんが、若干のまとめを言ってみることにします。

 作家それぞれの「地霊」といいますか「家霊」というのは、私たちが想像する以上に作品に影響を落としているのではないかと思います。

 つまり東北信仰の底に潜む「恐山」の存在、かたや南島信仰の底に潜む「ニライカナイ」の存在。これらの「地霊」や「家霊」の影響のもとに作品が制作される「ひとつの理由」があるような気がしました。

 しかし今回の実験的な試みは、まだたくさんの解かれるべき問題が横たわっています。「東北」と「南島」の"底を流れる河"を読み解く本格的な言説は、まだまだ道のりがあるような気がします。

                            ボクネン美術館館長 當山 

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